宅建士の資格試験に合格したのち、もしくは同時並行で受験を考える資格にマンション管理士があります。
宅地建物取引士、管理業務主任者、マンション管理士は不動産資格の三冠(トリプルクラウン)と呼ばれ、不動産業界で働くうえでは重宝される資格です。
上記の3つの資格の中で、もっとも難易度の高いものがマンション管理士。
例年の合格率は8%程度になっており、受験者の大半が宅建に合格できるくらいの知識はもっているのにこの合格率です。
宅建資格のステップアップとして位置づけられますが、宅建よりもさらに深い知識が必要になる資格なので軽い気持ちで受験すると痛い目を見ます。
とはいえ、宅建や管理業務主任者のように専業資格(資格を持っていないとできない仕事がある)ではないため、資格をとったとしても単なる箔付け程度にしかならないのも事実。
マンション管理士に合格すると「マンション管理士」という名前を名のって仕事ができる、というのがマンション管理士に合格した人の特権です。
それだけの資格のわりに、と言っては何ですが宅建や管理業務主任者とくらべて頭一つ抜けた難しさでした。
しかし、全50問の試験はマークシート形式の資格試験なので独学で合格することは可能です。
宅建よりも深くて細かい内容まで試験に出すというだけで、勉強の仕方はさほどかわりません。
不動産系の資格、宅建、管理業務主任者を持っているのにマンション管理士を持っていないというのは、知識不足をさらして生きているのと同じです。
不動産業界で働いていくつもりならば、マンション管理士に合格する程度の知識は持っておきたいものです。
宅建、管理業務主任者のみで満足するもしないもあなたの自由です。
ですが、マンション管理士に合格したあかつきには不動産に関する知識がじゅうぶんに備わった証拠になります。
努力に裏打ちされた知識が証明され、自信をもって仕事をすることができるようになるのです。
合格まで使った時間、努力は決して無駄になりません。
宅建から、さらにその先の知識を求めるならマンション管理士は絶好の資格試験です。
マンション管理士試験とはどんな資格?難易度は?
全50問マークシート形式の択一問題で、試験時間は2時間です。
試験日は例年11月の下旬ごろ、合格発表は1月初旬。
合格点数は34点から38点とブレがありますが、8割以上得点できれば合格は間違いありません。
マンション管理士の合格者は8%程度に抑えられているため、合格点数が毎年変わります。
今のところ合格に必要な最高点数は38点なので、38点以上の得点を目指すことをおすすめします。
マンション管理士の資格試験は「区分所有法」「民法」「マンション標準管理規約」「マンション管理適正化法」「建築設備」から40点分以上出題されます。
特に「区分所有法」はマンション管理にとって重要な法律なので出題数が多く、力を入れないといけない科目です。
逆にあまり根を詰めるべきではない科目として「建築設備」があげられます。
なぜかというと、「建築設備」は出題数が少ないわりに範囲が広く、対策が難しい内容だからです。
私が受験したときも過去問で触れられたことが無い設備の問題だったので、知っている内容の選択肢をつぶしながら最終的には「勘」で答えました。
まったく知らない内容が出たとしても、選択肢の中には知っている内容もあるので選択肢をひとつひとつ削っていけば、正答にたどりつける場合もあります。
勉強をする際は、あまり「建築設備」に力を入れすぎないことをおすすめします。とはいえ、過去問で扱った場所くらいはしっかりと暗記してくださいね。
マンション管理士の難易度は、宅建や管理業務主任者と比べると一段階上だと言えます。
宅建の難易度を3だとしたら、マンション管理士は4、管理業務主任者は3.5くらいだと言えます。
私はマンション管理士に合格するのに結構な数の参考書と模試、問題集を使って、やっとのことで独学合格しました。
なので、マンション管理士は難易度の高い資格と言っても独学での合格は可能です。
合格点が高いため、勉強終盤に「どこが分からないのか、分からない」状態になりがちだと言えます。
そうなるのが怖い場合は、独学ではなく素直に専門校の講座を利用することをおすすめします。
独学は自分のペースで勉強をつづけるため、どこを理解していないのか、どこの知識が不足しているのか気づきにくいのがネックです。
過去問も問題集も、模試も、何度も繰り返すと問題文を読んだだけで答えが分かるようになってしまいます。
そのせいで、本当はしっかりと記憶に定着していない箇所を見落としてしまうのです。
費用に余裕があるのであれば、講座受講をおすすめします。
参考書や過去問、問題集などを選ぶ時間も節約できますし、毎年の過去問を専門家が分析して対策を立てているので合格への確実な近道と言えます。
私の知り合いの持っていた講座のテキストを見せてもらいました。本当に市販品よりもしっかりと対策が立てられていて、独学よりも費用がかなり高い理由を垣間見た気持でした。
マンション管理士は合格点が高く、難易度の高い資格試験です。
独学でも合格できますが、かなり根を詰めて勉強しないと難しいと言えます。
費用があるなら講座の受講を考えたほうがいいでしょう。
マンション管理士に独学で合格するための勉強時間
マンション管理士に合格するまでにかかる勉強時間は平均で500時間から600時間くらいだと言われています。
この数字はまったくの初学者が勉強を始めて合格にいたるまでの時間なので、宅建の勉強をした人ならもっと勉強時間は少なくて済みます。
私の場合は、宅建の勉強時間300時間、管理業務主任者とマンション管理士の勉強時間200時間の合計500時間くらいかかりました。
平均的な勉強時間で合格できたということです。
管理業務主任者はマンション管理士合格を目指して勉強していると、ほとんど苦労も緊張もすることなくすんなり合格できます。
マンション管理士に合格できる知識量に達していると、管理業務主任者試験は本当に簡単に突破できます。
私はマンション管理士の合格発表まで、ドキドキしながら年越しをしました。マンション管理士の合格発表は1月なので、試験日の11月下旬から1か月ほど待たされます。
逆に、管理業務主任者については合格を確信していたのでまったくドキドキしませんでした。
マンション管理士の合格を目指す場合は、管理業務主任者はおまけでついてくるレベルの試験に感じるでしょう。
宅建とマンション管理士、管理業務主任者、3つの資格を合わせて500時間から600時間の勉強が必要だと思ってください。
それくらい勉強時間を重ねないと、マンション管理士に合格するのは難しいのです。
独学だろうと絶対に合格できるテキスト・過去問
マンション管理士に独学で合格するために必要な費用はおよそ2万5000円前後です。
テキストは2冊、過去問は1冊、模試は手に入るだけ購入することをおすすめします。
マンション管理士の受験費用は例年9400円で、切手代や交通費なども考えると2万5000円くらいは独学での合格に必要です。
マンション管理士の勉強におすすめなテキストはLECの『出る順管理業務主任者・マンション管理士 合格テキスト』
2020年版出る順管理業務主任者・マンション管理士 合格テキスト【持ち運びやすい3分冊セパレート】 (出る順管業・マン管シリーズ) |
試験範囲の知識をざっと確認するためのテキストとしてTACの『ココだけチェック! マンション管理士・管理業務主任者 パーフェクトポイント整理』の2冊があれば十分でしょう。
過去問はLECの『出る順マンション管理士 分野別過去問題集』などの10年ぶんの過去問が掲載されているものをおすすめします。
上記のLECが出版しているテキスト・過去問はボリュームがかなりあり、2冊のみでもじゅうぶんに合格するための知識を獲得できます。
ですが、ボリュームがありすぎて試験範囲の知識をざっと確認するのに向いていません。
おぼえておくべきことがらを簡潔にまとめているTACのパーフェクトポイント整理という書籍を使って、知識の整理をすることが合格への近道です。
そして、試験間近になると様々な出版社から出される予想問題集や模試は、出来るだけ手に入れて挑戦することをおすすめします。
マンション管理士試験は、過去問であつかったことのない問題が毎年2、3問は必ず出ます。
もし、そういった問題に直面したときに焦らずに対処できるように、本番さながらに時間を計りながら予想問題、模試をこなして慣れておかないといけません。
マンション管理士は細かい内容まで試験で問われます。合格点も高く、38点の合格点のときは12問しか間違うことが出来ません。
上記のように2、3問ほど「え、こんな内容、知らないんだけど?」という問題がでるので、ケアレスミスすら致命的です。
不安を抱えながら本番を迎えるよりも、予想問題、模試を購入して何度も挑戦することで知識を磨き、本番に備えてください。
マンション管理士の勉強に便利な道具として消せる蛍光ペンであるフリクション蛍光ペンをおすすめします。
これは、こすると消せるタイプの蛍光ペンです。テキスト・過去問の大事な部分やわからなかった部分などに目印としてマークして、理解出来たら消す、という使い方ができます。
蛍光ペンのマークが全部消えたとき、十分に合格を勝ち取れる知識を身につけたと言えるでしょう。
合格への近道は講座受講(費用があるなら)
マンション管理士は独学でも合格できますが、不安症な人はテキストや過去問、予想問題などをとにかくたくさん買ったほうがいいのではないか?と考えていろいろな出版社のものに手を出してしまいがちです。
試験間近の予想問題や模試は手に入るだけやると力になりますが、テキストと過去問はいろいろな出版社のものを購入する意味はありません。
独学は孤独な戦いであり、自分の勉強方法が正しいのか間違っているのか常に不安が付きまといます。
だからこそ、様々な出版社のテキストを購入してしまうのでしょう。
独学にたいして不安だ、自分が選ぶテキスト・過去問での勉強で合格できるのか自信がない。
そんな不安や疑いを抱くくらいなら、最初から専門学校の講座受講をするほうがマシです。
確実に短期間で一発合格したい場合も手厚いサポートのある専門学校の講座をおすすめします。
ただし、独学で勉強するよりも費用がかなり多くかかることは覚悟してください。
LECが宅建やマンション管理士、管理業務主任者の試験に力を入れており、合格者もかなりの人数いて評判もいいです。
専門学校の講座を選ぶ際は、実績と信頼のある会社を選ぶことをおすすめします。
不動産関連の資格試験で実績が高いのはLECとTACあたりだと思います。
個人的には宅建の講習でお世話になったLECを押しますが、実際に資料をみて自分にあっている専門学校の講座を受講してください。
「通学が良い!」とか「通信講座で自由に勉強がしたい!」とか要望があるでしょうから、それを満たす講座を探してみましょう。
マン管は管理業務主任者とセットで受験しよう!
マンション管理士を受験する人の大半は管理業務主任者の資格も同じ年に受験する傾向にあります。
なぜかと言えば、試験範囲がほとんど一緒だから。
実際、マンション管理士の合格を目指して勉強していると、管理業務主任者なんておまけくらいの認識で合格できます。
難易度がマンション管理士のほうがはるかに上なので、試験範囲は同じようでも受験したときの気楽さが違います。
不動産業では管理業務主任者のほうが重宝されます。しかし、宅建、管理業務主任者だけしか持っていない場合、知識不足を疑われるのでマンション管理士も絶対に持っておきたい資格です。
マンション管理士合格を目指して勉強を積んでいけば、管理業務主任者も合格圏内に入れます。
ぜひ、ダブル合格を目指して挑戦してみてください。
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